【趣旨】無投票の人が半数ほどいる中で、共闘野党がその魅力を高め、投票に行かない人の内の、どのくらいの割合の人たちを自分たちのために投票に向かわせることができたら、どのくらい小選挙区の中で当選が増えただろうか? という素朴な疑問に基づく、計算結果です。計算自体はまったくの仮定に基づくもので現実的ではないかもしれませんが、可能性としてどんな感じかを掴むために、計算したものです。
【改題】
旧)衆議院選挙2021、もし投票率5%が上がって、その分が小選挙区で野党共闘に投票されていたら……
新)衆議院選挙2021、もし小選挙区で共闘野党が投票率5%分を自分たちに上乗せできていたら……
衆議院選挙2021。
2021年10月31日、衆議院議員選挙の投開票日。あれから、一週間が経ちました。 野党共闘で少しは期待された選挙だっけど、予想以上に自民党が健闘して、維新が躍進(韻踏むな!)。 投票率は戦後3番目に低い、55.93%だそうです(https://www.tokyo-np.co.jp/article/139922)。
俳優の古舘寛治さんがTwitterで #投票倍増委員会 のタグを付けて頑張っていたけど、議席配分の驚きよりも、投票率低すぎだっろっ‼︎ と怒りたくもなるし、情けなくもなりました。ある意味、「日本、すごい!」……。
もし投票率5%が上がって、その分が小選挙区で野党共闘に投票されていたら……つまり、政治にあきらめていたり、面倒臭くて投票に行かなかったりした人たちが、もし野党共闘の候補に投票していたら結果はどうなったのか——と思い、ちょっと計算してみました。
選挙結果は、朝日新聞のサイトから数字を得ました(https://www.asahi.com/senkyo/shuinsen/2021/kaihyo/)。
国民民主党があんなことになっちゃったので、野党共闘からは外しています。
【方法】
小選挙区ごとに全候補者の得票数を足し合わせた選挙区の総得票数を求め、そのX%の投票数が野党共闘候補者に追加(上乗せ)で投票されたと仮定しました。
野党共闘は、立憲、共産、社民、れいわの4党としています。それ以外の党は与党等(国民民主党や維新を含む)としてまとめました。
各小選挙区の投票数増加割合のXは、5、10、25としました。全国で見れば、投票率が60.93%、65.93%、80.93%になったことを意味します。投票数増加割合0%は今回の選挙結果そのものとなります。
【結果】 上のグラフは、左側の灰色が与党等の小選挙区議席数を、右側の赤茶色が共闘4野党の議席数を示します。
1番上の[00%case]は今回の選挙結果そのものです。
2番目の[05%case]は、増えた5%の票が野党共闘の候補者に投票された場合で、小選挙区の議席数は92まで増えますが、それでも与党等の半分以下(46.7%)ですね。
3番目の[10%case]の10%の増加になってくると様相が変わってきます。野党は117議席に増え、与党等の68%に迫ります。ここまで行くと、共闘4野党が対抗勢力になりそうです。もっともこれに応じて、「比例」の得票数も伸びると思うので、国会での勢力図は大きく変わる可能性があります(比例選挙区は集計と計算方法が違うので今回はやっていません)。
4番目の[25%case]は、25%も野党共闘に投票が積み上がり、170議席と大きく逆転して、与党等に対して142.9%もの議席獲得となります。ただそれでも現状の反転とはいかないレベルなんですね……。
現実には、59議席で与党等の獲得議席数に対してわずか25.7%だったので、野党は「この党のこの候補者に投票に行きたい!」と、無関心層に投票に行かせたくなるような魅力的な党になっていく必要があるようです。
維新に関してはわかりませんが、自公に関しては投票は頭打ちだと思います。投票率80%は現在の日本では夢のようですが、65%〜70%程度ならありうる数字で、そうなれば少しは日本の政治も変わると思いますが、いかがでしょうか?
なおあくまでもこれは趣味で計算した値なので、結果に対する責任は持ちません。
【2021年11月20日追記】
この記事を裏付けるようなNEWSポストセブンの記事が出ました。(2021/11/20)
NEWSポストセブン
存在感高まる維新の吉村洋文・大阪府知事「嫌いな人が少ない」強み
https://www.news-postseven.com/archives/20211120_1708172.html?DETAIL
選挙区で維新に全敗した自民党候補たちも、「吉村氏1人に負けた」と受け止めている。
「維新の選挙事務所には大きく吉村知事の写真が掲げられ、地元のテレビにも朝昼晩、知事が出る。有権者は吉村さんに投票したいけど、できないから代わりに維新の候補に投票したわけです。私の得票や立憲民主、共産候補の得票は前回とほとんど変わらなかったのに、終わってみたら投票率が10ポイント上昇し、そのすべてが吉村支持票で維新候補に大差をつけられるという統計学的にあり得ないことが起きた」(自民党大阪府連幹部)
まさに共闘野党はこういうことをしなければならないわけで、今回の立憲民主党の代表選は大事です。ただ、そこまで魅力を出していけるのかどうかは疑問です。
【関連記事:2021年11月28日追記】
30年前から言われている「若者の政治離れ」 それでも投票促すには
withnews 2021/11/23 湯川うらら・朝日新聞高松総局記者
https://withnews.jp/article/f0211123000qq000000000000000W0ez10101qq000023920A
堤さん(※堤英敬・香川大法学部教授:政治過程論)に若者へのメッセージを尋ねた。
「自分が投票しても何も変わらないと思うかもしれないが、そのように思っている人たちがこぞって投票すれば、選挙結果は変わりうる。そして、選挙がどのような結果となるかによって、それなりに政治は変わる。また、多くの人が投票することは、国民が政治家を監視しているというメッセージにもなる」
(作成:2021年11月7日; 2021年11月8日加筆修正; 2021年11月13日趣旨を追加と誤字修正; 2021年11月15日改題;2021年11月20日追記;2021年11月28日追記)