映画雑観『早熟のアイオワ』生きる希望を与えてくれる秀作。

映画雑観『早熟のアイオワ』
生きる希望を与えてくれる秀作。
 
原題:THE POKER HOUSE
情報:2007
鑑賞時期:2020年10月ごろ
視聴環境:On demand
監督 ロリ・ペティ
主演 ジェニファー・ローレンス(アグネス)、ソフィア・ベアリー、クロエ・グレース・モレッツ、セルマ・ブレア、ボキーム・ウッドバイン

原題は “THE POKER HOUSE”。違法に賭博場を開き、売春宿を兼ねている家の三人姉妹の長女アグネス(ジェニファー・ローレンス)が主人公。母親も娼婦をしており、その彼氏——タイガー・ウッズ似の色男——がポン引きのクソ野郎だ。
監督・脚本のロリ・ペティの自伝的——つまり実話に基づく——作品らしい。

牧師の父親と共に幸福な幼少期を過ごすが、ある事件をきっかけに父親がDV野郎になって、母娘4人は別の街に逃げる。で、行き着いたのがポーカーハウスという稼業。アグネスは13〜14歳と、日本なら中学生なのだろうが、そんな環境から妹二人を守りつつ、アルバイトも掛け持ちして、家計も支えている。学業も優秀で、詩も書き、バスケットボールの有名選手でもある。一方で、母親の彼氏のポン引き男に恋をしていて、男とのキスを楽しみにしている。

悲惨な環境の中で懸命に生きるアグネスだが、母親はそろそろ娘にも商売をさせるつもりだ。ポン引き男もそれを知っていて、どうやらアグネスの恋心を弄んでいるらしい。

アグネスの友達や近所の人もアフリカ系の人が多い。みな貧しいながらもアグネスたち姉妹を優しく支えてくれる。

(ネタバレになるのであまり書きませんが、)ある事件が引き金となりアグネスの怒りが爆発。母親は娘に男を取られるのではないかという恐れと母親である感情との間で揺れ動く。男に銃を向けた娘に包丁を突き出し、「家を出て行け」と言ったのが、彼女のぎりぎりの愛情だったのだろう。

そのまま、アグネスにとって最後の試合となるバスケの準決勝に車で向かい(たぶんまだ運転免許はないはず)、途中出場で大活躍する。その試合の応援で彼女が町の希望であることが窺い知れる。試合終了後、痛々しい足取りでひとり会場から出てきたアグネスが車に乗り込み、これまで溜め込んでいた鬱屈を一気に発散するシーンは感動的だ(泣いた)。そして決意したアグネスは妹たちを車に乗せて、ついに家を出る。

家を出た時に乗っていた車は、わりと綺麗で高そうな車だったし、玄関のところにあった鍵を持っていったから、たぶんあのポン引き野郎の車だったのだろう。ナンバープレートもポン引き野郎の名前だし。

ちなみにその車は、キャディラック・”エルドラド”らしい。
参考:[第69回:三姉妹はエルドラドで未来へと向かう 『早熟のアイオワ』 【読んでますカー、観てますカー】 3ページ目 – webCG](https://www.webcg.net/articles/-/30327?page=3)

車の中でマーヴィン・ゲイの “Ain’t No Mountain High Enough” を熱唱する三姉妹。「越えるのに高すぎる山はない!」

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