映画雑観『ナイトクローラー』☆☆

原題:Nightcrawler
情報:2013(2014公開)、118分
鑑賞時期:2020年10月7日
視聴環境:On demand
監督 ・脚本 ダン・ギルロイ
主演 ジェイク・ギレンホール(ルイス・ブルーム)、レネ・ルッソ(ニーナ・ロミナ:TVディレクター)、リズ・アーメッド(リック:ルーのアシスタント)

“英辞郎 on the web”によると、原題の「Nightcrawler」(名詞)は、
・〈米〉《動物》大ミミズ◆夜間に地上にはい出て動くミミズ。釣り餌として使われることがある。
・ナイトクローラー◆夜間に活動する人◆【類】nighthawk ; night owl
・ナイトクローラー◆(悪いことをたくらんで)夜遅くにうろうろと歩き回る人
——という意味だそうなのだが、この映画の主人公、ジェイク・ギレンホール演じるルーは、この3つの意味の下から順に辿って行く感じだ。

この場合のミミズは、あくまでも虫嫌いの人間が見たミミズ像です(生態学的、環境学的にはミミズは重要な役割を果たしている)。

冒頭は、ルーが夜中に鉄道(車庫?)脇の丈夫そうな鉄網フェンスを切り取っているところから始まる。パトロールに来たのが警官ではなく警備員と知ると殴り倒し、高そうな腕時計を奪う。それがまさに「(悪いことをたくらんで)夜遅くにうろうろと歩き回る人」だ。

あるとき、警察無線を傍受して事故現場を撮影するナイトクローラーという生業の人がいることを知る。彼らは主に「夜間に活動する人」だ。他人を虫けら同様にしか思わないルーにとってはあつらえむきの仕事だった。さっそく見よう見真似で始めるとすぐにスクープを連発。若いインド系の金に困った世間知らずのアシスタントも、半ば騙すようにして雇う。嘘や心に思っていないことを次から次に平気で口にできるのもルーの才能のひとつだ。使用する車も錆が浮かんだトヨタ・ターセルから、新車の真っ赤なダッヂ・チャレンジャーSTRに変わる。

最後はもう人間性を完全に失くした、虫以下のヤツで、胸糞悪いエンディングとなる。ただ、このルーという人間?はデフォルメされただけで、妖怪のごとき新自由主義が跋扈する現代においては、特別ではない存在なのだ。

ちなみに主人公が乗るダッヂ・チャレンジャーは、僕の思い入れのある車種だ。1970年ごろのアメリカ映画『バニシング・ポイント』で主人公がアメリカ大陸をぶっ飛ばす車で、それが超かっこよかった。ロードムービーでもあり、カーアクション映画でもあり、またある種の反戦映画でもある。そのダッヂ・チャレンジャーは白で、特別なエンジンを載せたやつだ(しかも自分の車ではなく、輸送車両)。自由を求め、人間であり続けようとした主人公は、壮絶な終わりを迎える。


自動車関係サイトの『ナイトクローラー』の紹介でも、『バニシング・ポイント』との関係が若干触れられている(第105回:夜のカメラマンはスクープのためにスピードを求める 『ナイトクローラー』 【読んでますカー、観てますカー】 – webCG)。
『ナイトクローラー』でダッヂ・チャレンジャーは、警察に追われる側ではなく、警察車両を追いかけることにも使われる。白ではなく、赤いダッヂ・チャレンジャー(しかも新車でメーカーチューンされたタイプ)を使ったのは、『バニシング・ポイント』と色々な意味で対比させたかったからかもしれない。

【公式サイト】
映画『ナイトクローラー』公式サイト|大ヒット公開中!

 

【評価基準☆☆☆☆☆】
5:最高;見るべし。人生の宝になる。
4:優良;見たほうがいい
3:悪くない;見ても損はない
2:いまいち;好みが合えば、悪くない
1:ダメ;時間の無駄。光るところはあってもオススメしない。

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