『連作短編 雑木林(1〜8)』

あなたの記憶の始まりはどんな風景ですか?

タイトルは、小説投稿サイト「カクヨム」にリンクしてあります。

美しい客室乗務員は僕の記憶の始まりだった……。
僕が唯一、幸福だったと感じているのは、幼い頃過ごした所沢市の狭山ヶ丘の時代だ。
そして僕の記憶はそこから引っ越す時に始まった。
大人になって、当時の姉の幼馴染で客室乗務員になっていた福本香澄さんと羽田発金沢行の機内で再会する。
といっても記憶の始まる前のご近所さんだった彼女のことを僕は名前しか知らない。
機内で落とした運転免許証を見た彼女が僕に気づいてくれたのだ。
その夜、食事に誘ってもらった僕は、姉が僕を嫌っていた理由、逆に香澄さんが僕を可愛がってくれていたこと、そしてこの美しい女性が自分の記憶の始まりの情景に含まれていたことを知らされる。
やがて香澄さんとの関係は思わぬ方向へと進んでいく。